手に飯げ(めしげ)〔しゃもじ〕や椀、スリコギを持ち、甑簀(こしきす)〔シキ、餅米などを蒸すときに間に引く藁製の編み物〕を頭にかぶった、「田の神(カンorカア)様(サァorサマ)」、「田の神殿(ドン)」と呼ばれる田の神像は鹿児島を代表する石造物として、石仏関係の本や石仏写真集などにとりあげられている。
その田の神像は宮崎県の南部にも見られる。えびの市・小林市・都城市・諸県郡など県南部は旧薩摩藩領であり、鹿児島県と同じように、田畑のあぜ道や村のはずれによく見られる。また、まわり田の神として屋敷内で保管している例も多い。
田の神石像の魅力は、儀軌に則りつくられた、地蔵や観音などの石仏と違って、自由に勝手気ままに彫られていることである。
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