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大分県臼杵市深田 特別史跡・国宝
質・量・規模ともわが国を代表する石仏、「臼杵石仏」は大分県臼杵市深田の丘陵の山裾の谷間の露出した凝灰岩に刻まれた磨崖仏群である。平安後期から鎌倉時代にかけて次々と彫られたもので、谷をめぐって「ホキ石仏(ホキ石仏第2群)」「堂が迫石仏(ホキ石仏第1群)」「山王山石仏」「古園石仏」の4カ所にわかれている。(石仏配置図参照)ほとんどが丸彫りに近い厚肉彫りで、鋭い鑿のあとを残す。現在59体の石仏が国宝指定を受けている。 その中でも特に優れているのが、上記写真のホキ石仏の阿弥陀三尊像と古園石仏の大日如来像である。阿弥陀三尊像は丸顔に、伏目という、いわゆる定朝様式の阿弥陀像で、堂々とした量感あふれる磨崖仏である。古園石仏の大日如来は、「臼杵石仏」の象徴といってよい石仏で、近年まで転落した頭部が前の石壇に置かれていた。力強く厳しい、気品のある顔が印象的である。 臼杵石仏の制作者については、真名長者小五郎(炭焼小五郎)が、敏達天皇の時代に、中国から蓮城法師を招いて造顕したという伝説が残っている。もちろん史実とは言い難いが、この伝説のように、この地方に有力豪族が住み、その保護の下、すぐれた僧侶が石仏や寺院を造営したことはまちがいないだろう。 制作年代については、様々な説があるが、ホキ石仏の阿弥陀三尊像や古園石仏群(古園十三仏)などの様式や堂が迫石仏の上の台地にある、2基の五輪塔の嘉応2年(1170)・承安2年(1172)の紀年銘などから、12世紀頃から制作が始まったと考えられている。 |
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アクセス |
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JR日豊線「うすき」駅より大分又は野津・三重町行バス17分「臼杵石仏」 下車徒歩5分 | |
国道10号線筒井大橋入口より県道臼杵・上戸次線を経て国道 502号線を東へ4km |
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『臼杵石佛』 | 昭和38年 | 臼杵石仏保存会 | ||
『大分の磨崖仏』 | 窪田勝典・岩男順 | 昭和49年 | 九環 | |
『石仏の美』2岩の仏 | 佐藤宗太郎・大護八郎 | 昭和44年 | 木耳社 | |
『石仏』 (日本の美術36) | 久野健 | 昭和50年 | 小学館 | |
『日本の美術 石仏 』 | 鷲塚泰光 | 昭和53年 | 至文堂 | |
『日本の石仏(1) 九州篇』 「概説・九州の石仏」 「九州の磨崖仏」 |
賀川光夫 編 賀川光夫 岩尾 順 |
昭和59年 | 図書刊行会 |
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