尾道の石仏1
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尾道は林芙美子や志賀直哉が住んだ
「文学の街」として、小津安二郎の「東京物語」や大林宣彦の「転校生」「ふたり」など映画の舞台となった街として、多くの観光客を引きつけている。 千光寺公園からは尾道水道のむこうに、 向島をはじめ大小の島々が点在する美しい風景を見渡すことができる。 その尾道は「寺の町」・「坂の町」でもある。千光寺・浄土寺・西国寺などの古い寺があり、浄土寺多宝塔(国宝)など多くの文化財がある。 |
千光寺の石仏 広島県尾道市東土堂町 |
千光寺には石仏ブームのきっかけとなった若杉慧の「野の仏」によって、全国的に知られるようになった阿弥陀三尊磨崖仏がある。
参道の階段の隅にある小さな磨崖仏であるが、
かわいらしいこけしのような磨崖仏である。室町時代末期の作で、尾道では最も古い石仏である。 他に、 天正17年(1589)の紀年のある二尊逆修塔や烏天狗線彫り像がある。また、重ね岩とよばれる岩にも三尊磨崖仏がある。 |
浄土寺の石仏 広島県尾道市東久保町 |
浄土寺は聖徳太子の創建と伝えられる古刹で、本堂・多宝塔は国宝である。石造文化財も多く、宝篋印塔・納経塔は重要文化財である。 境内には多くの石仏があり、
開山堂よこには石の千体仏が並ぶ。最上段に比較的形の整った阿弥陀仏がある。 また、境内には「龍円 」と行者の名前を刻んだ、かわいらしい不動石仏がある。墨を塗られたのか、像の部分が黒ずんでいるのが痛ましい。
浄土寺の裏山、瑠璃山に不動明王の磨崖仏がある。高さ8mほどの岩に像高約4mの憤怒相の不動明王が薄肉彫りされている。
絵画的な作風で大きさの割に迫力に乏しい。
大峰山信仰講中の奉納。おそらく江戸時代の作であろう。 |
済法寺釈迦・十六羅漢磨崖仏 尾道市三軒屋町 |
済法寺は、通称「拳骨和尚」と呼ばれた、物外不遷大和尚で知られた寺である。拳骨和尚は力持ちとして知られ境内には和尚が背負ったという背負い石や動かしたという手水鉢がある。 済法寺の裏山の一面に広がる巨岩に、釈迦如来座像を頂点として、4段ぐらいの岩群に、光背状に彫りくぼめて半肉彫りする十六羅漢磨崖仏がある。江戸時代の尾道石工の技術の切れをノミ跡に見ることができる。 |