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石山観音磨崖仏

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 昔の面影を残す白壁塗りの店舗や家屋の残る、「日本の道百選」に選ばれた、宿場町、関宿の南2qの丘陵に石山観音磨崖仏がある。

 このあたりの丘陵は安山岩や凝灰岩などの巨岩が露出していて、石山観音磨崖仏は高さ40mほどの岩肌に大小の磨崖仏が刻まれている。石山観音は、三十三ヶ所観音霊場の観音を彫ったところから名づけられた。

 入口の巡拝路コース案内にしたがって進むと那智山青岸渡寺本尊如意輪観音から始まる三十三ヶ所観音霊場を巡礼できる。江戸時代、西国三十三ヶ所観音の巡礼巡りの信仰の盛行とともに、西国札所の各寺院の本尊の観音を模した観音石仏が並べられ、簡単に三十三ヶ所観音霊場の巡礼巡りができるように、三十三ヶ所観音霊場のミニチュアとして三十三ヶ所観音が一寺院や一山につくられたもので、全国各地に多数見られる。

 磨崖仏の三十三ヶ所観音は福島県(福島県の磨崖仏参照)を除いたら少なく、西日本ではこの石山観音と広島県竹原市黒滝山がよく知られている。特に、石山観音磨崖仏は大型の厚肉彫りの磨崖仏で福島市の岩谷観音磨崖仏ともに江戸時代の磨崖仏の秀作である。第一番札所の青岸渡寺本尊の如意輪観音磨崖仏の前の石水鉢に、明和9(1772)年の年号があり、観音諸像はこの頃の造立と考えられる。

 この磨崖仏群は石山観音磨崖仏と名づけられているが、その群像の中には、鎌倉時代の阿弥陀仏や地蔵菩薩も、彫られていて、もともとは阿弥陀仏を主尊とする寺院であったと思われる。

 第一番札所の石仏から少し上がった所に、像高3mを越える大きな地蔵磨崖仏がある。巨岩に二重光背を彫りくぼめ、右手で錫杖を持ち、左手に宝珠を捧げる地蔵立像で、穏やかな面相で、悠然とした風格のある鎌倉時代の作風の石仏である。(県指定文化財)

  阿弥陀磨崖仏は三十三ヶ所観音石仏巡拝コースの最後にあり、巡拝コース入り口付近から見上げた、岩山に彫られている。直立した岩肌に、二重光背を深く彫りくぼめ、蓮華座に立つ、像高352pの上品下生の来迎印の阿弥陀如を厚肉彫りしたものである。像の下には二面の格狭間を刻んだ須弥壇が設けられている。平行線に整えられた衣紋は美しくのびやかで、総高5mを越えるこの磨崖仏は迫力があり、下から見上げると、破壊されたアフガニスタンのパーミヤンの大仏を連想させる。格狭間の様式などから見て鎌倉後期の作と思われる。(県指定文化財)

 なお、県指定文化財に指定されている石仏として2番札所と3番札所の間にある聖観音磨崖仏がある。これは、江戸時代に唐招提寺の仏像を模刻したものである。残念なことに顔の部分は風化してしまっている。他に、駐車場の左手の谷にも地蔵菩薩の磨崖仏がある。禅宗寺院の羅漢を思わせるような人間くさい石仏である。

 

アクセス

所在地 三重県津市芸濃町楠原
JR JR関西線線関駅下車。南へ徒歩3q。
自動車 名阪国道、関ICより南へ500m。左折して西へ1q。

 

参照 『関西石仏めぐり』 清水俊明 平成9年 創元社

 

伊賀の石仏1 竹成五百羅漢 伊賀の石仏2



 

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