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山形県は福島県のように中世の石造物はあまりみられず、大森山磨崖仏や南陽市の磨崖碑(東正寺、烏帽子山など)などが知られているのみである。しかし、吹浦十六羅漢磨崖仏(江戸末期〜明治)や小湯山(こようさん)の石神仏(江戸末期〜明治)など、ユニークな石仏があり、近世の庚申・地蔵・観音・十三仏・神像・供養塔なども多くあり、石仏に興味を持つひとにとって、それなりに魅力のある県といえる。
このページは小湯山の石神仏と羽黒山や致道博物館などで撮った石仏写真を中心に構成した。 |
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小湯山(こようさん)の石神仏 | ||||||
山形県東置賜郡高畠町大字二井宿小湯山 江戸末期〜明治 | ||||||
小湯山は、標高約800m。凝灰岩が長い年月をかけて風化、侵食してできた大師岩、烏帽子岩、舞茸岩などの奇岩怪岩が多数あり、中世には修験の山として信仰を集めた山である。昭和48年春、その信仰の山、小湯山の山腹の68の岩穴から、300体を越える石神や石仏がが発見された。 奉納者の記名等から、江戸時代の末期から明治初期にかけて各地から奉納されたものとみられる。すべて高さ50p以内の小石神仏で、山の神・水神・地神・蚕神・八幡大明神・祇園大明神・大師像・大黒天・不動明王・大日如来・吉祥天などの多彩をきわめる。唇などに簡単な着色が残っている。 現在周回の遊歩道が整備され、大師岩、烏帽子岩、見晴岩などの奇岩怪岩とともに、岩穴に安置された石神仏を見て回ることができる。周回路の右側の岩穴には大師像が、左側には神像が多く、奥の院付近は、混合して分布している。 江戸末期〜明治にかけての庶民信仰の所産として、因島の白滝山や修那羅や霊諍山の石神仏とともに、注目に値する石神仏群である。 観光のついでに訪れたため、時間やカメラの装備不足で十分な写真が撮れず、像名も確認できなかったが、現世利益を求める近世末期の東北の庶民の息吹の一端を味わってもらえば幸いである。 |
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安久津八幡神社阿弥陀磨崖仏 | ||||||
山形県東置賜郡高畠町安久津 江戸時代初期 | ||||||
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羽黒山の石仏 鶴岡市羽黒町手向 羽黒山 | ||||||
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致道博物館の石仏 | ||||||
山形県鶴岡市家中新町 | ||||||
致道博物館は庄内藩主酒井氏の御用屋敷跡に作られた博物館で、明治初期の洋風建築や茅葺き屋根が見事な民家などの歴史的な建造物が移築されている。
御用屋敷の庭は現在も残っていて、そこに数体の石仏が置かれている。 石仏の中で特にすぐれているのは来迎供養塔で、もとは福島県郡山市にあったものである。須賀川・郡山地方の典型的な姿の阿弥陀三尊来迎供養塔である。他に、馬頭観音や地蔵・如意輪観音の二尊石仏などの近世の石仏が苔の美しい庭におかれている。 |
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