吉備の石仏3
中世の石仏と石塔
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岡山県には中世の石仏は近畿地方などと比べると少ないが、宝塔や板碑・層塔・石幢などは少なからずある。それらの中には総願寺跡(王子権現社)宝塔の阿弥陀如来のように優美な仏像が彫られたものがある。このページは宝塔・板碑・石幢に彫られた仏像を中心に構成した。 |
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山崎六地蔵・不動磨崖仏 総社市下原字山崎 |
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総社市下原の高梁川岸近くに六地蔵と不動の磨崖仏がある。露出した花崗岩の断崖を、幅約3.6m、高さ3mに削り取り磨き、これを3区に分け、1区に2体つづの地蔵を舟形の中に半肉彫りしたもので、岡山県の重要文化財に指定されている。
各像の高さは40pほどで、六体とも左手に宝珠を持ち、右手に錫杖を持つ延命地蔵で、頭部が大きく愛らしい表情が印象に残る。下に単弁の蓮座を線彫りする。六地蔵は、六道に輪廻転生する衆生を救済する地蔵の姿を表したもので、印相・持ち物は六体異なるのが本来の姿であるが、時代が下るに従って六体とも同じ像形のものも作られるようになった。 「恭借十万信男信女力労為法界衆生利益故」 「應永五戈寅八月 日 北斗代 大願主道清 宮」 の銘文があり、室町初期の応永5年(1398)年に大願主道清が十万の男女信徒の合力を得て法界衆生の為に造立したのがわかる。 六地蔵の左端に地蔵とほほ同じ大きさの不動明王座像が半肉彫りされている。この不動も六地蔵とおなじような穏やかな表情であるが、彫りは伸びやかさに欠ける。制作年代は六地蔵より下ると思われる。 大地と繋がった岩の持つ美しさ・厳しさと人々の信仰心が結びついた造形美、自然を生かし、自然と一体となった美しさ、それが磨崖仏の大きな魅力である。しかし、残念なことに、現在この磨崖仏の裏山はなくなり、岩だけが孤立してしまっている。(高梁川の改修工事などに大量の土石をほりとられた。) |
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総願寺跡宝塔 岡山県倉敷市児島下之町田和 |
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楢津阿弥陀石仏 岡山市楢津字中楢津 |
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岡山市楢津の若宮八幡宮参道脇に宝篋印塔とともに阿弥陀石仏が祀られている。分厚い舟形光背を負った厚肉彫りの定印の阿弥陀如来座像である。衣文の襞が摩耗のため見られず裸のように見える。やや硬さが見られるが優雅な顔をした阿弥陀仏で鎌倉時代の名残か残る室町初期の造立と思われる。
この石仏は道路の下の田んぼから掘り出されたもので、明治時代の廃仏毀釈のため、粗末にされた八幡宮関係の石仏ではないかと言われている。 |
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保月三尊板碑・六面石幢 高梁市有漢町上有漢 |
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