四国霊場の石仏

 

四国霊場の石仏1 四国霊場の石仏2 四国霊場の石仏3


 四国は、弘法大師空海が開いたという霊場八十八か所札所の国である。四国八十八か所を巡拝することを遍路という。巡礼者は、寺を一つ一つ詣ることで、自分の迷いを解き、身も心も清らかにして八十八の煩悩を取り除き、悟りを開く。
 
 四国八十八か所巡礼は、修行僧を中心に平安時代末期から始まり、室町時代にほぼ整理された。江戸・元禄前後から庶民の間に広がり、ガイド本も発刊され、全国的なブームとなった。以降、時代により盛衰はあったものの連綿として続き、昨今の遍路の隆盛につながっている。
 
 白衣を着て「同行二人」と書いた菅笠を被り、大師の化身とされる金剛杖をつき、「南無大師遍照金剛」ととなえながら巡礼する四国八十八か所巡礼は、弘法大師に対する深い信仰に裏付けされている。
 
 その信仰は霊場寺院に奉納された多くの石仏や遍路道にたてられた遍路標石にも窺うことができる。霊場寺院には地蔵石仏や大師像をはじめ八十八か所本尊石仏・三十三観音石仏などの石仏が見られる。そのほとんどは巡礼が盛んになる江戸時代以降の石仏で昭和以降の石仏も多い。鎌倉時代の弥谷寺阿弥陀三尊磨崖仏をのぞき造形的に優れた石仏はあまり見られず、信州の修那羅や因島白滝山の石仏のような自由奔放な表現の個性的な石仏も少ない、しかし、お遍路さんたちの祈りや願いが込められた石仏は、鎌倉時代の石仏や修那羅の石神仏と同じように魅力的である。

 弘法大師に対する深い信仰に裏付けされた四国八十八か所の石仏の魅力をどうぞお楽しみ下さい。