瓜生十六羅漢 | ||
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兵庫県相生市野矢野町瓜生 「室町時代」 | ||
幽谷の趣のある奇岩巨石の間を登ると岩窟の奥まった岩陰に釈迦三尊像を囲んで十六羅漢石仏がある。山野五百羅漢とは違って、両手で鉢を捧げる那迦犀那尊者像など『仏像図彙』(天明3年刊)に示されている姿で描かれ、一見して羅漢とわかる石仏である。 しかし、同じように奇岩巨石の山中にある本耶馬渓の羅漢寺の羅漢と比べると受ける印象は大きく違う。羅漢寺の羅漢は俗臭の強い、類型的な僧や老人像の集まりといった感じて、あまり感動を受けなかった。(羅漢寺耶馬と呼ばれる奇岩・奇石のそそり立つ姿を見たときの感動が大きすぎたからかも知れないが) それにたいして、瓜生の羅漢は奇岩巨石の中にあっても、奇岩巨石に圧倒されず、奇岩巨石と同化し、あたかも、石そのものが羅漢であるかのような印象を受ける。俗臭はまったくなく、悟りを開いた聖人の深さが感じられる。それは、自然石の形にさからわず、羅漢の個性を表現することによって、石や岩そのももの魅力や生命を生かしているからである。おそらく、作者は個々の自然石にそれぞれの羅漢を感じて彫ったのであろう。 石仏の作者、製作年代は明らかではない。伝説によると、飛鳥時代、朝鮮の僧恵便・恵聰一行がこの岩窟に隠棲し、後世の衆生に仏縁を結ばんと作ったといわれているが、作風から見て室町時代の作と考えられる。 |
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十六羅漢 |
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十六羅漢・文殊菩薩 |
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釈迦如来 |
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那伽犀那尊者(なかさいなそんじゃ) |
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濱度羅跋羅堕闍尊者(びんどらばらだじゃそんじゃ) |
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羅怙羅尊者(らごらそんじゃ)or 伐那婆斯尊者(ばなばしそんじゃ) |
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蘇頻陀尊者(そひんだそんじゃ) |
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