頭塔東面如来三尊像
東面の第一段の中央には北面と同じく上方に宝相華の天蓋と飛雲を配し、群来のある蓮華座で、宝相華の飾りをつけ、中尊下方の左右に合掌する小菩薩(侍者)を刻んだ大型の如来三尊像の浮き彫り像が配置されている。二重円光背を背負った中尊如来座像は、衣を通屑に着け、腹前に置く両手先を組んで印相を表さない(定印?)。中尊にに向けて坐す両脇持像は穏やかでふくよかな面相である。頭塔の石仏の中では最も保存状態がよく見ごたえがある。 東方を浄土する如来として薬師如来が知られているが、この像は多宝如来と思われる。薬壺を持たない薬師如来像もあるため断言はできないが、薬壺を持たない定印の薬師如来像の例はなく、法華経見宝塔品には、多宝仏の宝浄国土は東方世界にあると説かれるから、この石仏は多宝仏浄土を表したものと考えられる。 |