柳本墓地地蔵石仏       永徳3年(1383)   南北朝時代後期
・奈良県天理市柳本町583          
・アクセス ・JR桜井線「柳本駅」下車、東へ徒歩20分。または天理駅から奈良交通バス「桜井駅北口」行き、桜井駅からは奈良交通バス「天理駅」行きに乗り上長岡(かみなんか)で下車。 東へ徒歩5分。

・西名阪「天理」ICより、国道169号線を南へ6.7q。崇神天皇陵手前の三差路を左折、東へ約250m。
 長岳寺の南にある柳本墓地には角張った顔、細い目、低い鼻、小さな口の個性的な表情の地蔵石仏がある。墓地入口付近に東向きに立っていて、高さ143pの不整形石の正面に船型の深い彫り窪みをつくり、宝珠と錫杖を持つ地蔵を半肉彫りしたもので、他のこの時代の地蔵石仏と違った迫力があり、魅力的である。永徳三年(1383)の紀年銘がある。

 長岳寺の北に山裾に「大工僧善教」の刻銘のある永和四(1378)年の弥勒石龕仏がある。この像は顔の表情や衣紋表現などは柳本地蔵石仏とよく似ている。従って、柳本地蔵石仏も善教の作と考えられる。柳本町には他にも、同じ頃の紀年銘の持つ同様の作風の石仏が見られる。