清滝八尺地蔵磨崖仏 鎌倉時代 |
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・奈良県生駒郡平群町鳴川 | ||
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平群町鳴川にある千光寺は役行者の開いたと伝えられる寺で、役行者が大峰山を修験の場とする前にここで修行していたため、「元の山上ヶ岳」という意味で「元山上」とも呼ばれている。行者の母親も入山修行してたと伝えられ、「女人山上」ともいわれていて、女性にも山内が開放された修験道の霊場である。千光寺の周りは修験道の行場となっていて、清滝八尺地蔵磨崖仏のある清の滝も行場の一つである。
鳴川集落は千光寺の参道に沿った山道にあり、その中程にゆるぎ地蔵と呼ばれる地蔵を安置した辻堂がある。その辻堂から細い道を下ると川の流れ沿いに巨岩が露出するところがあり、鎌倉時代から室町時代にかけての多くの磨崖仏が彫られている。その中でも特に優れているのが八尺地蔵磨崖仏で、清滝という小さな滝の岩肌に彫られている。 八尺地蔵磨崖仏は地蔵菩薩立像の薄肉彫りで、蓮華座から頭光背まで337pもある大きな磨崖仏である。やや体を斜めに向け、錫杖を体から離して、右手で錫杖の柄を持つ。左手で持つ宝珠は大きく立派である。銘はないが鎌倉中期の造立と考えられる優れた磨崖仏である。現在、苔が生えて、昔の面影がなくなりつつあるのが残念である。このホームページの写真は10年ほど前の写真である。 |
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