向淵三体地蔵石仏        建長6年(1254)  鎌倉中期
・ 奈良県宇陀市室生向渕             
・アクセス ・近鉄大阪線「室生口大野」駅下車。タクシーまたは徒歩で北西3.9q。

・名阪国道「針」ICを下りて「針インター」交差点より国道369号線を南へ2.8q。
 集落の西はずれの畑の中に建つ堂に「穴薬師」と呼ばれるこの三体地蔵がある。凝灰岩の四隅を落とした正八角形の石材を利用して作られたもので、中央に蓮華座を設けて高さ150pの二重円光背の彫り窪みをつくり、像高130pの宝珠と錫杖を持つ地蔵立像を厚肉彫りする。その両側には同じく二重円光背の彫り窪みをつくり、中尊よりやや小さい像高90pの地蔵立像を厚肉彫りする。両脇持は共に、右手を下げて与願印を示し、右手で宝珠を持つ古式の地蔵である。

 充実感のある、鎌倉中期らしい写実的な表現の地蔵石仏で、三体地蔵形式では最も古い様式である。施主名と共に建長6年(1254)の紀年銘を像の間に刻む。