五劫院見返り地蔵        永正13(1516)年  室町時代
・奈良市北御門町24             
・アクセス ・近鉄奈良駅より徒歩25分。またはJR奈良駅西口または近鉄奈良駅より「青山住宅」「州見台八丁目」行きバス乗車「今在家」下車徒歩3分。

・阪奈道路・第2阪奈道路・京奈和自動車道等を経て、奈良市内へ。国道369号線「今在家」交差点で東に入り300m。参拝者用駐車場、南50mにあり。
 五劫院は鎌倉時代、重源上人が中国から将来した五劫思惟阿弥陀仏像を本尊とする華厳宗の寺院である。鎌倉時代の重源上人についで江戸時代、東大寺大仏殿を再建した公慶上人の墓が、本堂裏の墓地にある。

 その墓地の入口の小さな覆堂に2体の等身大の地蔵石仏が安置されている。向かって左の像が見返り地蔵である。高さ約2mの船型光背形に造った安山岩に高さ152pの地蔵立像を厚肉彫りしたもので、錫杖を軽く肩に当てて、右足を踏み出して、顔をやや左に見返り、体を斜めに向けて歩く姿を表した地蔵である。衣の裾は後にたなびいている。

 遊行する地蔵が、救済に漏れた衆生を、見身を振り替えして救済する姿を表したものである。像の左側に永正十三(1516)年の刻銘があり、室町中期の作であることがわかる。