田の神さあ 薩摩(6) いちき串木野市 |
五反田川に面した丘に立つ、坂下の田の神は神像型立像の田の神で笏を持ち冠をかぶる。下に垂れる纓(えい)も表現している。延享4年(1747)の記銘がある。日置市東市来町の養母の田の神と共に神像型立像の田の神の秀作である。旧市来町の川上にある中組の田の神と川上の田の神はともにシキをかぶりメシゲと椀を持った田の舞型の田の神で顔が小さく袴が大きく広がり安定した姿の田の神像である。 流鏑馬の田の神も神楽鈴を持った神とメシゲと飯椀を持った神を半肉彫りしたもので、神楽鈴を持った神は女神、メシゲと椀を持った神が男神と思われるが、福薗の田の神は神楽鈴を持った神が男神のようにも見える。河内の田の神と流鏑馬の田の神は四角形の石材に半肉彫りの男女二神を彫ったもので、河内の田の神は左側がシキをかぶり大きなメシゲを両手で持った女神て右側が笏を持った神官姿の男神である。 袴田の田の神は、丸彫りの二神並列の田の神像で男女並立型浮き彫り像を母体として生まれたものと思われる。二つの像は台石でつながっていて、右が男神で笏を持つ、左は女神でシキをかぶり、メシゲと椀を持った僧形である。右の神もシキをかぶったように見えるが、頭部は後の補ったものと思われる。背後から見ると右の神には下に垂れる纓が胴体部分に残っている。稚拙な表現であるが、水田を見守る2体の田の神像は豊作を願う農民の気持ちが込められた印象的な田の神像である。 高見の田の神、野元の田の神は共に右手にメシゲを左手に椀を持った田の神で、高見の田の神は浮き彫り、野元の田の神は丸彫りである。高見の田の神は白く彩色されている。 |