田の神さあ 薩摩(11)  南さつま市金峰町

  塩尾堀の田の神(嘉永4<1851>年)は両手でメシゲを持ち、ツトを背負った、ずんぐりした体型の田の神である。丸顔でおだやかな美しい表情が印象に残る秀作である。田の神の前には美しい田んぼが広がっている

 池辺中の田の神は、鍬、メシゲ、ツト持ちの田の神像の代表作である。首をすくめたような表現や、穏やかな翁風の顔などは浦之名の田の神などと共通する。文化2(1805)年の紀年銘を刻む。均整のとれた美しい姿態である。中津野の田の神はメシゲと椀を持つ田の神像で安永6(1777)年の作である。

 池辺稲葉の田の神は、塩屋堀の田の神と同じように両手でメシゲを持っちツトを背負った田の神である。六角柱の上の蓮華台の上に立つ。塩屋堀の田の神と比べると平板な表現になっている。安政7(1859)年の作。