田の神さあ 大隅(4) 姶良市加治木町・霧島市国分

 迫の田の神は上木田の田の神と同じく、衣冠束帯型の田の神で安永10(1781)年の作で、整った美しい田の神像である。西反土の田の神<文政元(1818)年>は、シキをかぶり、タスキ掛けで、一歩踏み出して、両手でメシゲを持ち、空を見上げるように田の神舞を踊る田の神像である。日木山川の堤防沿いにある吉原の田の神は両手でメシゲを立てて持ち、シキを頭巾風にかぶっている。痛みがひどく顔は全く表情がわからない。背後に蔵王岳が望める。  
 
 西ノ原の田の神は、日木山里の田の神と同じように、右手にメシゲを持ち、かぶったシキを左手で押さえた田の神で、笑顔が愛らしい。シキは螺旋状の編み目の大きく厚いものである。新中の田の神は日木山里の田の神と同じく、左手でシキを押さえて、笑みを浮かべて中腰で田の舞を踊っている姿の田の神である。新中にはもう一体メシゲを両手で持った目尻を下げた好々爺のような田の神がある。

 剣之宇都の田の神は左手にメシゲ、右手に鈴を持った半跏像で昭和11年の作で、力強い近代的な田の神像である。
重久の田の神は、大黒天型の田の神で、大黒頭巾をかぶり、米俵の上に乗る。小槌の代わりにメシゲを、福袋の代わりに稲穂を持つ。 上之段の田の神は飯富神社の西側の田んぼの畦にある。2体並んでいて向かって左の像は江戸時代の神官型の田の神で、右の像は明治の作で丸顔でメシゲと椀を持った素朴な表現の田の神像である。宮内の田の神は県指定有形民俗文化財で右手にメシゲを左手に椀を持ち、右足を踏み出し田の神舞を舞おうとしている姿を表している。