田の神さあ 大隅(10) 鹿屋市・錦江町・南大隅町

 鹿屋市には特色ある、2種類の神舞姿の田の神がある。1つは野里の田の神に代表されるメシゲと振り鈴を持ち、上衣の衿から胸にかけて可憐な飾りがついている田の神舞を踊る田の神像である。もう一つは神職神舞型で高隈地方に7体ほどある、烏帽子を被り、腰をかがめて神舞を舞う神職を彫ったもので、手には振り鈴を持つ。神職神舞型の代表といえるのが上別府の田の神で、歯を見せて笑っている顔が印象的である。中津神社前の田の神は赤・黒・白で見事に彩色されている。鶴の田の神も神職神舞型の田の神で高台に田んぼを見下ろすように立っている。祓川町川東の田の神は、両手でメシゲを持ち田の神舞を踊る農民風の田の神で田んぼの中の小さな丘の上に立つ。

 半ヶ石の田の神は、右手にメシゲ、左手にスリコギを持つ農夫姿の田の神で右足にぞうり、左足に下駄を履いた珍しい像である。川北の田の神は享保16(1731)年に建てられたもので、台に俵が彫ってあり、メシゲとスリコギを持つ。大隅半島では最も古い紀年である。