南郷伝弥勒石仏           永治2(1142)年藤原時代
・奈良県北葛城郡広陵町南郷      北緯34度32分23秒、東経135度45分1秒                
・アクセス 近鉄大阪線「やまとたかだ」駅下車。広陵町コミュニティーバス中央幹線乗車。「南郷」下車。北西400m    
自動車  西名阪道「法隆寺IC」から南へ6.4q
             
・ 広陵町役場の南の環濠集落が南郷である。その南郷の山王神社の入り口に覆堂があり、土地の人が弥勒として信仰する石仏が安置されている。

 永治2(1142)年の数少ない平安時代の造立銘を持つ石仏で、頂上か山型になった高さ125p、幅95pの安山岩の自然石に法界定印を結んで宝冠をいただいた像を薄肉彫りしたものである。膝下は省略して彫り出さず、上半身が土中より湧き出したように見える。優美で豊満な顔と姿の石仏で、胎蔵界大日如来と思われる。地元では弥勒としていて、伝弥勒仏とされている。

 この石仏は昭和50年に清水俊明氏によって、永治2(1142)年の造立銘か発見され、同じ年に発刊された小学館の「日本の美術36 石仏」のケースの表の写真となり、全国的に知られるようになった石仏である。残念なことに、私が訪れたときには、口元などが大きく破損していて、「日本の美術36 石仏」の写真と違っていた。