金勝寺磨崖仏　　　　　鎌倉時代～江戸時代
・奈良県生駒郡平群町椣原　　　　北緯34度38分38秒 東経135度42分14秒　　　　　
・アクセス ・近鉄生駒線「元山上口」駅下車。徒歩北へ0.5㎞。

・第二阪奈道路「壱分」ランプより、国道168号線を竜田川沿いに南へ3.6㎞。
　金勝寺は行基菩薩が開いた真言宗室生寺派の古刹である。その金勝寺の金堂の西側の崖に多数の磨崖仏が刻まれている。鎌倉時代後期から江戸時代前期にかけてのものである。

　右上部、山型の龕内に宝篋印塔納め、中央上部には方形彫り込み内に像高56cmの薬師如来座像を厚肉彫りする。宝篋印塔の右下には右手に利剣、左手に羂索を持って岩座に立つ像高135㎝の不動明王立の線刻像がある。不動明王立像は頭部が苔や風化でわかりにくい。不動明王像は鎌倉後期、薬師如来座像は室町時代のの作と考えられる。

　これらの像の右下方に船型に彫り窪みの中に半肉彫りした像高70㎝の矢田型地蔵立像がある。上部には庇を取り付けたとみられる横長のほぞ穴があり、精巧に作られた磨崖仏である。「茶々逆修　天正十四年丙戌卯月廿四日(1586)」の銘があり、戦国末期に平群谷を支配した嶋左近清興の妻が「ちゃちゃ」の逆修供養仏の可能性が考えられる。

　左下方には戦国末から江戸初期にかけての地蔵や如来像が多数彫られている。池ぎわに彫られた矢田寺型地蔵には「康正二年丙子六月日(1456年)」の造立年号がある。