二条の辻地蔵石仏

 旧街道の辻にはよく地蔵石仏が見られるが、それは人の迷いそうな分かれ道の道しるべと同時に、迷える人を救う意をあらわしていて、仏の道を広めるために造立されたものである。そのような辻の地蔵の一つが、二条の辻の地蔵石仏である。

 二条の辻の地蔵石仏は平城宮跡の北西の「二条町」の交差点の真ん中の地蔵堂にある。高さ190pの船型光背を背負った、左手で宝珠を持ち、右手で錫杖を持った丸彫りに近い厚肉彫りの像高140pの地蔵石仏である。錫杖は光背面に直立させて彫り出していて、下げた右手て手首を捻るようにして錫杖を持っている。穏やかな表情の地蔵石仏で、納衣などの表現は丁寧で、鎌倉後期の作風を示す。