大原阿弥陀石仏            鎌倉中期
・京都市左京区大原来迎町            
・アクセス ・「京都」駅、京阪「出町柳」駅、地下鉄「国際会館」駅より、市バス・京都バスで「大原」下車。徒歩10分。

・名神京都東ICより、府道四ノ宮四ツ塚線 (三条通)・白川通り・国道367号線を経て約45分。

 大原三千院の境内、「あじさい苑」の奧、律川に架かる橋を渡った山裾の吹放しの覆堂に祀られている。以前は勝林院から律川にそって自由に行くことができ、「日本石造美術辞典」などでは勝林院境内から行くように紹介されている。

 高さ2.25mで京都の石仏では一番大きく、美しい石仏である。光背形の花崗岩の自然石に単弁を並べた蓮座に坐す定印の阿弥陀如来を厚肉彫りに彫りだしたものである。光背は二重円光式になっている。頭部の螺髪を一粒づつ刻む。長めの顔は美しく、眼は半眼に開き優しいまなざしである。やわらかい流れるような衣紋で、花崗岩の硬さを感じさせない、木彫風の傑作である。二重円光の光背には石像寺阿弥陀三尊のよう梵字は彫られていないが、香炉ヶ岡弥勒石仏のながれを組む叡山系の石仏である。

 秋のやわらかな日差しの中でみた、この阿弥陀石仏は素晴らしく、慈悲にあふれた顔は忘れられない。