比叡山香炉ヶ岡弥勒石仏            平安後期
・滋賀県大津市坂本本町比叡山西塔                
・アクセス ・JR湖西線「比叡山坂本」駅、または、京阪石山坂本線「坂本」駅よりバス。「ケーブル坂本」よりケーブルで「ケーブル比叡山」下車。西塔まで徒歩30分。または、比叡山内シャトルバスで「西塔」へ。

・京都駅からバス、「延暦寺バスセンター」下車。比叡山内シャトルバスで「西塔」へ。バス停より徒歩10分。

・名神高速道路京都東IC|から西大津バイパスには入り近江神宮ランプをおり西へ。田の谷峠ゲートより比叡山ドライブウェイへ、奧比叡ドライブウェーから西塔駐車場へ。徒歩10分。

 京都を代表する石仏「石像寺阿弥陀三尊石仏」や「北白川阿弥陀石仏」の様式の源流といえる石仏がこの香炉ヶ岡弥勒石仏である。そのため、滋賀県にあるが、あえて京都の石仏として、最初にとりあげた。

 石仏は西塔釈迦堂の背後の山、香炉ヶ岡の笹原の杉木立の中にある。像高2m余りの花崗岩製。下部に別石の反花座もうけ、その上に蓮座・仏身・光背からなる本体を一石でつくられている。右手を伏せて膝の上に、左手を仰げて膝上においた珍しい印相で、弥勒如来・または釈迦如来と思われる。

 丸彫りに近い厚肉彫りで、膝におろした右手と胴のあいだや首と光背とのあいだが彫り抜きになっている。満月相の顔、高い肉髻、ひきしまった体部と流麗な衣紋など藤原時代の特徴をみせる。光背は二重円光式で、左肩の一部欠けていて、6個の月輪内に梵字が陽刻されている。光背の背面には、3つの月輪が彫られ、釈迦三尊の梵字が大きく陽刻され、下には経巻を納めるための四角の彫り込みがある。

 もとこの付近にあった弥勒堂跡にちなんで弥勒石仏といわれている。釈迦石仏の説もある。