国東半島と豊前の磨崖仏

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熊野磨崖仏

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楢本磨崖仏

 鬼が一晩で造ったという、大小不揃いの石が積まれた急な階段を、息を切らして登ぼり切り、そそり立つ崖に、熊野磨崖仏を見た時の感動は今も忘れられない。有終の彼方を見つめるような厳しい凄みを感じさせる目つきの大日如来がまるで岩そのもののであるかのように、迫ってくるのである。ここでは、岩は仏をあらわすための素材ではない。岩そのもののが仏であり、岩に対する信仰がそのまま仏に対する信仰なのである。

 奈良の寺院の天平彫刻や鎌倉彫刻をを見慣れていた私は、「臼杵磨崖仏や大谷寺磨崖仏などか石仏の傑作である。」と思っていた。そして、日本の石仏は、木彫仏や銅像、塑像、乾漆像に比べれば造形美としては一段劣ったものであると認識していた。しかし、この熊野磨崖仏を見たとき、私のそのような認識はどこかに吹き飛んでしまった。

 天平彫刻や飛鳥彫刻のフォルムの素晴らしさと深い精神性は比類ないものであろう。しかし、熊野磨崖仏に代表される、岩(石)の持つ美しさ・厳しさと人々の信仰心が結びついた、磨崖仏・石仏の造形美も、見直す必要があるのではないだろうか。

 私が石仏(特に磨崖仏)に興味を持ち、全国の石仏まわり、写真を撮るようになったのは、20年ほど前に、この熊野磨崖仏を見て以降である。その意味で、この「国東半島と豊前の磨崖仏」のページは私の石仏遍歴の原点である。            

1_b2.gif (1021 バイト)国東・豊前の石仏地図